小説版『トーマの心臓』
友人たちに比べれば、あまり漫画を読まない私ですが、それでも
萩尾望都氏の作品は半分以上読んでいると思われます。
最初に読んだのは『スター・レッド』だったかな?
とにかく、感覚的に「あっ!この人は同じ世界を知っている人だ」
と感じられる漫画家さんです。
まだ彼女を知らなかった時・・・月が空に複数浮かんでいる異世界の
夢を見たことがあったので、後に『モザイク・ラセン』や『銀の三角』を
手に取ったときはかなりの衝撃だったのです。
とっくに成人していましたが、大感激。
夢が、突然リアルな現実になってしまったみたいで、一気にハマりま
した。代表作の一つ『トーマの心臓』は文庫サイズになってから読む
機会を得ましたが、それもつい最近のこと。
それを、映画『スカイ・クロラ』で知った原作者・森博嗣氏がノベライズ
する、と聞いたときには「完成の暁には、必ず読もう!」と思ったもの
です。もうそろそろかしら?・・・と調べてみて、先日入手したばかりの
小説『トーマの心臓~Lost heart for Thoma』。
読み始めたら、ラストまであっという間。
萩尾氏のファンだと常々公言されている森氏。
萩尾原作を活かしつつ、しっかりと構築された森ワールドに置き換えて、
少年たちのみずみずしい感性の物語を、詩のように美しく小説に「翻訳」
されていました。
物語の随所に「あ、こういう感覚はある。でも、うまく言葉に出来ない!」
と思う箇所があり、そんな読者の当惑を見抜いたように的確な言葉で描
写してしまえる森氏の筆は、ばっちり冴えてます。
そして最初から最後の一行に至るまで、澄んだ水の流れや空気や光・・・
自然の営みを感じさせる、不思議な透明感。
読後、また改めて再読したくなるような物語に仕上がっていました。
うん。読んで、得した気分。
一粒で二度美味しいとはこのこと?(ちょっと違う)
漫画原作『トーマの心臓』も、近々再読してみようかな・・・と思いました。


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