2009年8月 9日 (日)

小説版『トーマの心臓』

友人たちに比べれば、あまり漫画を読まない私ですが、それでも
萩尾望都氏の作品は半分以上読んでいると思われます。
最初に読んだのは『スター・レッド』だったかな?
とにかく、感覚的に「あっ!この人は同じ世界を知っている人だ」
と感じられる漫画家さんです。
まだ彼女を知らなかった時・・・月が空に複数浮かんでいる異世界の
夢を見たことがあったので、後に『モザイク・ラセン』や『銀の三角』を
手に取ったときはかなりの衝撃だったのです。
とっくに成人していましたが、大感激。
夢が、突然リアルな現実になってしまったみたいで、一気にハマりま
した。代表作の一つ『トーマの心臓』は文庫サイズになってから読む
機会を得ましたが、それもつい最近のこと。
それを、映画『スカイ・クロラ』で知った原作者・森博嗣氏がノベライズ
する、と聞いたときには「完成の暁には、必ず読もう!」と思ったもの
です。もうそろそろかしら?・・・と調べてみて、先日入手したばかりの
小説『トーマの心臓~Lost heart for Thoma』。
読み始めたら、ラストまであっという間。
萩尾氏のファンだと常々公言されている森氏。
萩尾原作を活かしつつ、しっかりと構築された森ワールドに置き換えて、
少年たちのみずみずしい感性の物語を、詩のように美しく小説に「翻訳」
されていました。
物語の随所に「あ、こういう感覚はある。でも、うまく言葉に出来ない!」
と思う箇所があり、そんな読者の当惑を見抜いたように的確な言葉で描
写してしまえる森氏の筆は、ばっちり冴えてます。
そして最初から最後の一行に至るまで、澄んだ水の流れや空気や光・・・
自然の営みを感じさせる、不思議な透明感。
読後、また改めて再読したくなるような物語に仕上がっていました。
うん。読んで、得した気分。
一粒で二度美味しいとはこのこと?(ちょっと違う)
漫画原作『トーマの心臓』も、近々再読してみようかな・・・と思いました。


| | コメント (0)

2009年7月26日 (日)

読書三昧の一日

今日は母が出かけるというので、私は一人家でゆっくり。
朝寝坊もしましたし、美味しい朝ごはんも食べましたし。
その後は・・・ここ数日、取り憑かれたように没頭している読書の時間
となりました。
今読んでいる本・・・友人がどーんとまとめて貸してくれたものの内の
数冊なんですが、これが面白くて!
ジャンルはファンタジーなのですが、今まで読んでいて、こんなにハラ
ハラドキドキする作品に出会ったことは無かったような。
分類するなら・・・宮廷サスペンスですかね。
発行元が創元推理文庫なのですよ。
ロイス・マクマスター・ビジョルド著の「チャリオンの影 上・下巻」です。
主人公が・・・35歳中年で、思わず支えてあげたくなるような「ヘタレ」
なんですが、彼の波乱の人生は30代半ばでよれよれになってしまう
のも無理はないかなーと思わせられる程に過酷。
問題だらけでどうにも解決できそうにない大事件を抱えてしまうのに、
ラストに向けて一気に物語が動く様は本当に見事!!
上巻は通勤の合間にちびちび読んでいたのですけど、ついに辛抱堪ら
ず下巻はイッキ読みしてしまいました。
はー、面白かった!
明日からは、続編「影の棲む城 上・下巻」を読み始めます。
うう。本当は今すぐ読み始めたいんです・・・しかし、お楽しみの時間は
少しでも引き伸ばしたいし、他のことがなにも手につかなくなってしまっ
ては困りますので(笑)
ああ!本当に、素晴らしく面白かったなあ。
ファンタジー物で、こんなに面白い作品があっただなんて。
さすがは友人、本の虫。
この作品シリーズを紹介してくれたことに、くれぐれも感謝をしなくてはw

| | コメント (0)

2008年9月 5日 (金)

時々読み返す話

好きな作家さんはいろいろと存在するのですが、時々、唐突に
読み返したくなるのが三島由紀夫さんの作品。
自分ではこんな絢爛な文章書けないよ、と思いつつ、読むのは
どうにもやめられない。
遺作の「豊饒の海」が好きなのですが、他に「海と夕焼」という
超短編がありまして。
日本の寺男をしている外人さんが若い昔を振り返る話です。
少年たちが霊感に導かれてマルセイユへと向かうのだけれど、
約束されていた奇跡は起きず、「船で運んで差し上げる」と申し
出た大人に騙されて奴隷商人に売られてしまう。
何だかね、これ以上は無いというくらいに信じた何ものかが壊れ
てゆく瞬間の気持ちとか。でも、それ以外には行動し得なかった
自分の在りようだとか。
読むとしみじみしちゃうんですよ。で、何となく思い出したように
また読み返す。
「海と夕焼」は新潮文庫の「花ざかりの森・憂国」に収録されて
います。未読の方は是非。
でも、こういう作品は嫌いだ、とおっしゃる方もいるでしょうね(笑)

| | コメント (2)

2008年8月16日 (土)

シリーズ読了

さっきまで、物凄い雷雨でした。ゲリラ豪雨っぽい?・・・そこまで行か
ない、ただの夕立かしら。
何にせよ、天気予報を信じて午後は外出を控えたのでラッキーでした。

実は今日、朝からトラブってしまったのです。
二駅先の病院に行く途中、診察券その他諸々の書類をすっからかん
と忘れてきたことに気づいて。しかも気づいた場所は、二駅先の改札を
出たところ。20秒くらい迷ったけれど、その場で来た道を引き返し、超
特急(自分の感覚として、だけれど)で家まで取って返した訳です。
予約してある時間は9時半。しかし、診察券を忘れたとなると、何時間
も待たされてしまう。以前、一度やらかしたことがあるのです。
8時丁度に家を出て、40分後に猛ダッシュで帰宅した私を見て、母は
一体何が起きたのだ?!とびっくりしていたけれど、詳しく説明している
ヒマなんてない。診察券と書類を手にするなり、私は再び猛暑の屋外へ
飛び出し、常よりも1.5倍くらいの勢いで自転車をこいで駅に向かいまし
た。病院に到着したのは9時を少し回った時刻。丁度、入り口の施錠が
解かれたところでした。セーフ。
いつもなら予約時間の1時間前に到着し、まだ開いてもいない入り口に
ずらずらと並んで、本でも読みながらひたすら待つ。
しかし、今日は選択の余地がなかったので、短時間に大量のエネルギー
を消費致しました。少しはダイエットになったかな。
結果的には、長い時間並ばなくとも、いつもよりも15分ほど診察時間が
遅れただけでした。・・・ので、結果オーライなのだけど。
なぁんだ。こんなことなら、いつも、もっと遅くに家を出てもあまり変わらな
いんだな、・・・と少しがっかりしたのも事実。

病院と言えば待ち時間がたくさん。行き帰りの電車内での時間もある。
今日は森博嗣さんの「スカイ・イクリプス」を読了しました。
全巻揃えられたら装丁が綺麗だったけれど、一冊だけが単行本(笑)
これで、スカイ・クロラシリーズ(既刊全6巻)を読み終えたことになるのか。
それにしても、一番最初に「スカイ・クロラ」を読んでしまったので、他の
巻を読むたびに前後する時間に翻弄され、まるでミステリィを読んでいた
かのようなイメージが残りました。一人称小説の不思議。名前が出てこな
くとも話が進行する。
時間の流れだけで考えれば、「ナ・バ・テア」⇒「ダウン・ツ・ヘヴン」⇒
「フラッタ・リンツ・ライフ」⇒「クレィドゥ・ザ・スカイ」⇒「スカイ・クロラ」の
順で読むべきだったのかなぁ。
読み終えて、最初判っているつもりだったことがどんどん判らなくなってき
たカンジ。謎が解明されてゆくかと思いきや、どんどん謎が増えるというか。
これは作者の狙い?いや、面白いから良いのだけど。
もう一度頭から読み直してみたら、大分印象が変わるかも知れません。
ともかく、シリーズ全てを読んだ今は、映画「スカイ・クロラ」と原作「スカイ・
クロラ」は全く別物、と考えます。映画は映画で好き。原作は原作で、捉え
どころの無い浮遊感に捕まった・・・というか(笑)ハマりました。
続編はあるのでしょうかね。短編集でも、続きがあれば読みたいな。
さて。休み中はとことん読書ができて嬉しいです。
次は、中断していた高嶋哲夫さんの著作に戻り、暫しの読書週間に浸り
ます。もちろん、新しい書き物もちまちまと進めてゆきたいところです。

| | コメント (0)

2008年7月17日 (木)

「スカイ・クロラ」読了

通常、映画を観る前に原作を手にすることは滅多にないのですが、
この作品の映画化は押井守監督が手がけるということなので、攻殻
機動隊シリーズみたいに予備知識が無い状態で観るとよく判らない
「イノセンス」・・・のパターンになってしまうかな、と思い先に原作を
読んでみました。
映画はまだ公開されていませんが、押井監督がどうしてこの作品を
映画化したのかは判る気がしました。
登場人物の死生観とか、淡々とした日常(しかも死と隣り合わせの)
だとか・・・少なくとも、満ち足りた人生を過ごしている人にはあまり
縁のない感情や考え方を扱っていて、それでいてどろどろとしておら
ず何処までも淡白な・・・無音の無菌室みたいに清潔な印象の残る
小説でした。読み終えたとき、何だかすこーんと哀しかった。
ショービジネスとしての戦争、という条件が設定されていますが、問
題は科学の行き着く果てに老いず、死ぬことも無い永遠の子供たち
が何を目的にして生きればよいのか、という問いかけ。
先日テレビ放映されていたジブリアニメの「ゲド戦記」(原作未読)で
も「死を捨て逃れようとすることは、生きることを捨てること」的な台詞
がありましたが、それに近いでしょうかね。
ただ生きているということに疲れ果てて病んでいく精神。
死にたいと口では言いながら、死に近づくことで自身の生を自覚すると
いうパラドックスの螺旋形。
戦争=人殺しを生業とする主人公に感情移入できるか、最初は疑問
だったのですが、そもそもこの主人公には感情の起伏がない。しかし、
感情移入できないというのでもない。何だかよく判る気がするのです。
人心の荒んだ現代社会に、無意味な殺戮を実際に行ってしまう若者
がいることは残念ですが、彼らとて「生きてゆくこと」に破綻しなければ、
周りに迎合して無難に生き抜くことは可能だったかも知れない。
たとえ、それが幸福という形にならなくても。
映画「スカイ・クロラ」がどのように描写されるのかまだ判りませんが、
その内また原作の続編「ナ・バ・テア」「ダウン・ツ・ヘヴン」「フラッタ・
リンツ・ライフ」「クレィドゥ・ザ・スカイ」は読んでみようかと思っています。

| | コメント (0)

2008年2月 7日 (木)

読みかけてた本

5年ほど前に読みかけて、引越しやら入院やらのどさくさで奥じまいし、
何処にあるかわからなくなってた本が、最近になって出てきた。
スティーブン・キングの「小説作法」。
彼の作品で好きなのは月並みですが「スタンド・バイ・ミー」「グリーン・
マイル」そして「ファイア・スターター」。
「ファイア・・・」は古過ぎるのか、今や何処にも売ってない。古本屋で
探しているんだけど。「炎の少女チャーリー」って映画になってたな。
「アトランティスのこころ」は前編が好き。送られてきた手紙の封筒から
薔薇の花びらが零れ落ちる辺りが特に。
「IT」も読んだけど、あれは気持ち悪過ぎかな。
ところで、途中まで読んで放置状態だった「小説作法」。
読みかけだったんだから、途中読んだところは飛ばして読み直そう・・・
と思い、ぱらぱらとめくってみて呆然となりました。
どこまで読んだか全然おぼえていない!
・・・・・・・・当時、かなり面白がって読んでたことだけはおぼえてる。
いいや。これは一種の随筆集だもの。最初から読み直そう。
今のこの時期にきちんと読みなおすために、目の前に現れたんだと考え
ることにしました。ちょっと得した気分だわ。

| | コメント (0)

2007年12月29日 (土)

何か騙された

先日から読んでいた「このミステリーがすごい!大賞」受賞作。
今年のじゃなくて、数年前の受賞作品なんですけど、さっき読み終えましてね。
作品名は伏せときます、一応。
タイトルに惹かれて買ったんだけど・・・一言言っていいかな?
「・・・時間と金返せ!!」(怒)
なんでこんな作品が1位なの?
なんで日本推理作家協会賞受賞なの?
なんで本格ミステリ大賞受賞なの?
某2チャンネルで「選考にはコネがつきもの」などと物議が醸されているけど、
実際そうなのか?と、この一作品で疑いたくなった。
はっきり言うよ。騙し方がイヤラシイ。
ミステリーにどんでん返しを期待するのは仕方ないとして、この騙し方は肩透かしだ。
ついでに言うと、全然面白くなかった・・・。

ああ。これから会社の忘年会で出かけなくてはなりませぬ。
面倒臭い。早く帰りたい・・・
少し早めに出かけて、もっと面白そうな本を物色してこようかしら。
何にせよ、この本を新年にまで引きずらずに読み終えてヨカッタ。
でなけりゃ、気色悪い新年になっちゃったと思うもの。多分。

| | コメント (0)

2007年12月23日 (日)

原作「ミッドナイト・イーグル」

先日観た映画に感動して、原作本を読みました。
高嶋哲夫著「ミッドナイト・イーグル」。
映画では人物設定が少し変えられていて、最初のうちから事
件に対処しつつある政府の動きなども描かれていましたが、
原作では何もかもが手探りで、先の判らない不安の中を一歩
一歩前へ進む感じで展開してゆきました。
分厚い山岳小説でもありますが、これ・・・こんな厳冬の中を
雪を掻き分けつつ目的地へ進むというのは、何だかもう、それ
だけでもの凄い。読んでいて「ああ、死んじゃうよ・・・そんなこと
してたら死んじゃうよ」とおろおろしてしまいました。
映画には映画の、原作には原作の良さがあると思います。
どちらを先に目にしても、ちゃんと感動できる作品。
逆に言えば、よくこんな作品をあんなにきちんと映像作品に仕
上げられたなぁ・・・と。
映画館ではまだまだ上映中。
穂高の美しい山岳風景を大画面で観たい方は、是非!!

| | コメント (0)

2006年3月 1日 (水)

古本は宝の山

風邪っぴきの上に、外は雨降り。
大人しく身の回りでも片付けようと本棚を整理していたら・・・
三島由紀夫氏の古い著作が出てきました。黄ばんでホコリを
被っていましたが・・・家にこんな本があるなんて知らなかった。
タイトルは『若きサムライのために』(日本教文社刊)。
勿論、未読です。すごく、得をした気分。
ちゃんと調べた訳ではありませんが「昭和47年、26版発行」と
索引にあるので、もう絶版になっている本かも知れません。
先日から「丁度、今頃の季節の話だよなぁ」なんて思いながら、
少しずつ『英霊の聲』(河出文庫刊)を読んでいたところだった
ので、ちょっとびっくりしました。これも意味ある偶然なのかしら。
思いきり右翼的な彼の著作ではありますが、読むと気持ちが
すっきりと落ち着くのは何故でしょう?・・・不思議です。
確固たる信念に基づいて書かれた文章だから?
現代の日本では失われつつある純粋性に、身を洗われる思い
がするからでしょうか?
「死」を美化したい訳ではありませんが、命のぎりぎりのところで
生きていた人たちが当然のように身につけていた強い何ものか、
心の芯にあたる部分に思いを馳せながら、じっくり読んでみようと
思います。

| | コメント (0)